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2006年09月03日

人間国宝 川北良造氏

mokkoutourusi.bmp石川県山中町在住の重要無形文化財「木工芸」保持者 川北良造氏の作品展が輪島漆芸美術館で開催されている。それに合わせて川北氏の講演会と列品解説があるという。川北氏の名前は以前からあちこちでよく聞いていたので、これはぜひ話を聴きに行かねば。
と言うことで急遽輪島へ走った。

kawagitashi.jpg 川北氏は昭和9年、山中町生まれ。 中学卒業後、父の浩一氏に師事し、挽物木地師の道に入る。 平成6年 重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)に認定される。

どんなに凄い人かと思っていたが、人柄がにじみ出るような穏やかな話ぶり。
主に木について語ってくださった。

・大木になるには風雪に耐え、周りの木々との競合もあり、なかなか大変なこと
・一見素直に見えても木にはそれぞれ癖があり、それを見抜く力が大切
・民家のそばにあった木は、どんなに立派な木でも手を出してはいけない
 なぜなら、ほぼ必ず針金や釘を巻き込んでいるから
・外見だけではわからないことも多いので注意しなくてはいけない
・原木を選ぶ時は明るい太陽の下で見ること。薄暗い中ではどうしてもよく見えてしまう
(これは人間の女性も同じですね(笑)
・木の顔色を見なくてはいけない。健康状態をそこから読み取る
・何百年と埋もれていた神代と呼ばれる木でも、加工すると動く。木は永遠に生きている証
・弥生時代の木製品でも木の性質をよく考えて作られていて感心する
・出来るだけ素性の分った木がよい
・などなど・・・

そんな中でも印象に残ったのは
「ろくろで挽くと材料のほとんどを削っておが屑にしてしまう。木に対して申し訳ないと思うのです」
と言う言葉。

それぞれの木が持つ「くせ」を知り、その特徴を最大限に生かす作品作りをしている川北氏らしい言葉です。また「人間は木が動くと困る、と言いますが、木は本来湿度や環境によって動くものなのです。それを動くから困ると言うのは勝手なことですね」とも。

そんな川北氏から木に対する愛情を感じました。

投稿者 masaki : 2006年09月03日 06:27