お蔵を解体するという。
そのお蔵に使われている柱が普通の杉なんかじゃないらしい。
どうもクリじゃないかとの噂が・・・
「欲しかったら解体するときに持っていっていいよ」って言われた。
ほんとにクリだったらこれはぜひ欲しい!クリ材と言えば昔は腐りにくい特性を生かして、家の土台に使われたりもしたが、高級家具材としても使われる。
さっそく下見に行った。
昭和14年に建てられたというそのお蔵は、僕の工房から30分ほどの山手の高台にある。
元は機場の経営者だったという人のもので住宅と工場の隣に建っていた。
小さな窓の周りには装飾が施され、一番上には大黒様が彫ってある。
立派なもんやなぁ・・・
薄暗い中を懐中電灯で照らしながら入る。
すでに貴重な物は持ち出されていて、空になった屏風の箱や、古い塗りのお膳セット、いかにも昔の柄の布団。そんな物が暗がりに置き去りにされていた。明るい世界から急に違う空間に入り込んだような感覚を覚える。
蔵の隅にある階段を上ると天井には地松の立派な梁があり、蔵を建てた年月や棟梁の名前が墨ではっきりと書かれていた。これがケヤキだったら200万はするだろうな、などと考えながら件の柱に明かりを向ける。
長い歳月で黒ずんではいるが、確かに針葉樹の木肌ではなさそう。太さも4寸はありそうだ。細かい間隔で貫が通っているので、そのままの太さでは使えないが、うまく使えば厚みのある物も取れそうだ。クリ・・・そう言われればそんな木目にも見える。鉋でも持ってきて削ればもう少しはっきりするのになぁ、などと考えながら、解体する時には連絡をもらうようお願いしてお蔵を後にしました。
投稿者 masaki : 2006年04月06日 21:38